ご存知のかたも多いかと思いますが、4月7日から御影にある小寺邸の解体工事がはじまりました。
小寺邸は1931年ヴォーリズ建築事務所設計の、スパニッシュ建築邸宅のわが国でも残存する中でも最も重要な作品の一つです。
数ある保存・解体で揺れる物件の中にあって、竣工依頼ずっと変わらずお使いいただいている高質な住宅として、先般のNHK「新日曜美術館 ヴォーリズ特集」でも紹介されていましたし、大凡の人々はまさか急に解体の危機などないであろうと思っていた住宅です。
どうやら解体の工事にかかる直前に近隣に通知があり、そのまま解体にかかったようです。保存運動も何も、全く何もできないまま無残にも壊されていってしまいました。
私もそういう情報をいただいたのが4月7日、すでに解体ははじまっていたようでそれを知ったのが8日、その時点でまだ知らない方々も大勢いました。
大変ショックでした。言葉にならないショックでした。
近隣に渡辺節設計の乾邸が同じく解体の危機があり、永い間保存に向けてたくさんの方々が尽力されて来られ、ようやく残される方向がきまった矢先でした。
これは明らかに人災です。こういったことが今なお起きているというのはやはりこの国のなんとも次元の低さを感じます。
以前に須磨の室谷邸が惜しまれつつ解体、マンションに建替えられたことがありました。
どこまでこういったことが続くんでしょうか。
またこれを読んでいただいている皆さんにも、今後もこの国の建築文化を次の世代に伝えていく意味でもこういった問題に意識をもってもらいたいと思います。
青井弘之(一粒社ヴォーリズ建築事務所)
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日本に、建築の文化なんかない。
あるのは、高機能、使い勝手の2つを見かけの化粧で誤魔化して、モダンという言葉遊びを続けているだけ。
素晴らしい建物を、残していくには素晴らしい街を構築して『景観の一体感』で守るしかないと思う。
資本主義の中で、どう守っていくがが課題。
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